GiFT

まいにちをめぐる、いろんなこと。

君が喜ぶプレゼントって何だろう

職場に着いて、いつものように渡り廊下を歩いていた。そこは変わっていて、片側だけガラスが入っていて、もう片側からは風がビュービュー吹き抜ける。

廊下の真ん中あたりに、鳥の置物が見えた。誰かの落としものかな。そう思って近づくと、本物のスズメだった。死んでるのかな?と恐る恐る側に行くと、目がぱちくりと動いた。生きてる。

体はピクリとも動かない。空いている方から入ってきて、ガラスにぶつかったのかもしれない。飛べなくなっちゃったのかも。まだ子供みたいだ。とりあえず、外に出そう。

「どうしたの?」一応、礼儀として声をかけてみる。返事はない(当たり前だ)。掌を差し出したら、チョンと乗ってきた。その細い脚、ささやかな重み。生きてるんだ、こんなに小さいのに、と思うと胸がいっぱいになる。そのまま数歩あるいたら、景色が目に入ったのか、パタパタと上手に飛んで行った。

良かった!、と嬉しくなる。朝の、数分のひととき。奇跡のようだった。

家に帰って夫に話すと「じゃあ、きっとお礼として大きなつづらか、小さなつづら、どちらかを選んで下さい、って言われるよ」と言う。「どっちを選べばいいんだっけ?」というと「大きい方を選ぶと、大変なものが出てくるんだよ。欲張ったらダメって話じゃなかった?」「なるほど、じゃあ、選ぶときは小さいほうにする」とわたし。

いや、待てよ。どうして大きい方を選んだらダメなんだろう。どっちを選んだって、お礼なんだしいいじゃないか!と言うと、夫も「それもそうだな」と笑った。まあでも、もしあのスズメがやってきたら、念のため(?)小さいつづらを選ぼうと思っている。