GiFT

まいにちをめぐる、いろんなこと。

新しい世界

先週だったか、朝の出勤途中(※渋滞中)に群れをなした白鳥が、2隊、前方の空を横切っていくのを見た。もう、白鳥が飛び立つ時期だっけ?と思う。長距離を飛ぶための練習だろうか。そういう時期になったのかなあ、とぼんやりした。

ふと視点を下げて、反対車線側の景色が目につく。紅色の木が目に飛び込んでくる。梅の花?遠すぎて、花が開いているのか、蕾が膨らんでいるだけなのかはわからない。梅の花が咲くには、まだ早い気がする。去年はもう少し後だったような・・・。

空には白鳥、地上には紅梅。あなたが気がついていないだけで、季節はめぐっているんですよ、知らなかったの?と言われたようで、むやみに焦る。

まだ準備ができていないのに、誰かに背中を押されて、スタートラインを飛び出してしまったような気分になった。心許なくて、不安。

そんな自分の気持ちを確認したら、余計に焦った。

若かった頃は、準備なんてできていようがいまいが、飛び出すのが大好きだったのに。もう少し冬眠していたい、と思ってる自分が意外で。新しいことが大好きで、見たことがないものを見たがっていたわたしは無鉄砲で、めちゃくちゃだったろうな。いつの間にか恐いものが増えた。大事なものができたからだ、と思う。

でも、わるくない。あの頃のわたしは「名前のついた何か」になりたくて仕方なかった。今のわたしがなりたいものは「名前のついた何か」になるよりも、ずっと退屈で根気と忍耐を試されるという意味では、難易度が高い。

これでいいのだ。

そう思ったときに、車が動いて梅も白鳥たちも視界から消えた。